探訪と劇場と -5.30

Last-modified: Tue, 20 Jul 2010 15:58:06 JST (2951d)

 国立劇場前売り所で6日の「ナクソスのアリアドネ」の券を450シリングで買った。バルコンの席は初めてなので楽しみだ。例のちょび髭君が今日もいて、今朝はコンピュータが故障していたのだ、フジヤマコンピュータだと言う。しばらく判らなかったが、ここの前売り所では、富士通のコンピュータを使っているのだと、気が付いた。良く見かけるダフ屋のおじさんも一緒だった。

 カフェ・モーツァルトでメランジュを飲んで、王宮周辺を散策。2つの拾い物をした。1つは、ミハエル教会の正面入口を入ってすぐ右の壁面に、「1991年の12月10日にこの教会でモーツァルトの告別式が行われ、レクイエムの完成されていた部分(複数)が演奏された」というパネルが掲げられていること。パネルは二つの部分に分かれていて、左側は人の顔だが、右側のパネルはなぜか骸骨だ。

 このパネルに記載されていることが事実だとすれば、レクイエムの一部は、モーツァルトの死の5日後には既に初演されていることになる。当然モーツァルト自身が生前に総譜を完成していた部分なのだろうが、どの部分なのか正確には判らない。もう一つは、ミハエル門の左側にあった、ここに元のブルク劇場があったという表示のパネルだ。ケルントナートアー劇場と並んで、当時のヴィーンのオペラ、演劇活動の中心になっていた劇場なのだ。

 続いて、アルベルティーナの4階にある、火曜日は12時から開館の、国立図書館の音楽部門に行った。私を観光客だと思ったらしい係員が、ここは図書館で博物館ではありませんよと教えてくれたが、構わず入ってみた。

 新王宮の方にある国立図書館の一般部門に比べると規模は勿論小さいが、閲覧室にもかなりの数の楽譜や書籍が並べられているし、カード室兼書庫という感じの部屋にも書籍やロッカーがぎっしり並んでいて、出版された楽譜、文献、ファクシミリなどの別で索引カードが整理してある。

 閲覧室は広くはないが、7、8人の人が楽譜や本を広げて見入っていた。驚いたことに、新モーツァルト全集(NMA)は一般閲覧室に並べてあり、良く利用されているらしく、かなり古びた感じだった。日本の図書館では書庫の中に納められて「帯出禁止」の扱いになっていて当然だと思うのだが、ヴィーンでは違うようだ。

 シュターツオーパーで「眠れる森の美女」を見た。期待していた以上に素晴らしいバレエだった。「白鳥の湖」が見られなかったのは残念だが、1月に見た「くるみ割り人形」と合わせて、チャイコフスキーの3大バレエのうち2つまで見ることができたわけだ。特にこの「いばら姫」は日本では見たことがなかっただけに良い思い出ができた。

 ソロやデュエットの華麗な踊りも勿論素晴らしいが、コールドバレエのアンサンブルの見事さには目を見張るばかりだ。装置や衣装も豪華絢爛、まさに夢の世界を作り上げている。チャイコフスキーの音楽も、他の2つに比べてこれまで馴染みの薄いものだったが、3大バレエと並び称されるだけあって、珠玉のような輝きを持っている。

 今日も黄色い声のブラヴォーが飛び交った。主として30シリングの立ち見席からだ。私の席は1200シリング、すぐ後ろの立ち見席は30シリング。最前列に日本人がいたから聞いてみたら、4時間前から並んだのだという。体力があれば、私の1回分で40回見られる計算になるわけだ。若い人ばかりでなく、結構な年齢の人もいる。オペラフアンとはやや違う、バレエの熱烈なフアンがいるわけだ。

 「青い鳥」役の男性は、シュターツオーパーでのこの役としては初舞台だとプログラムに載っているが、凄いジャンプ力の持ち主で、黄色い声援はこの Malakhov の方が多かったのではないかとさえ感じるほどの人気だった。バレエの醍醐味を満喫した。