城東高校の音楽、点描

Last-modified: Wed, 26 Dec 2007 09:47:52 JST (3711d)

 昭和62年に開校した岡山城東高等学校は、人文系、理数系、国際系、そして岡山の県立高校ではただ1つの音楽系を合わせて、4つのコースを持つ全県学区の総合選択型普通科高校である。

「大地讃頌」

 「先生、感激した」、入学したばかりの1年生たちが眼を輝かせて言うのは、入学式直後の「大地讃頌」の合唱である。第2回入学式で後輩を迎える1期生たちが熱唱したこの曲は、それから毎年の入学式に1年次の音楽選択者全員が合唱して新入生を迎える習わしになっている。

 「来年は君たちの出番だ」と言うと、多くは合唱経験のない生徒たちなので、「えーっ」と戸惑う。「今日はこの曲を合唱しよう」と校歌の混声四部合唱の楽譜を配ると、生徒たちはもう一度「えーっ」と奇声を挙げる。城東高校の、4月最初の音楽の授業風景である。

「みにくいあひるの子」

 「翠緑祭にオペレッタをやりたいんです」、音楽系の2年生たちがこう言ってきたのは7月のことだった。9月初めの文化祭に間に合うのだろうかという私の心配をよそに、生徒たちは着々と、あるいは悠然と準備を進めた。歌が得意な者はキャストに、楽器が得意な者はそれぞれが勝手にピアノ譜から自分のパートを書き抜いて即席のミニオーケストラを編成した。

 結局、殆ど教師の手が加えられないまま、33名のクラス全員で「みにくいあひるの子」は上演され好評であった。2期生が始めた音楽系2年生によるオペラ上演は、昨年はより本格的な「赤いろうそくと人魚」に発展し、今年の4期生は創作オペラ「ひめゆりの唄」に取り組む。

「きよしこの夜」

 学校創立3年目の平成元年12月19日、第1回音楽系定期演奏会が三木記念ホールで開催された。大学受験を間近に控えた1期生が、3年間の学習の成果を披露する晴れ舞台である。独唱やピアノ独奏をはじめ、各種の弦・管楽器など、変化に富み、充実した演奏内容であった。最後のステージで、「マザーグースの歌」を合唱した1、2年生の前に主役の3年生が並んでの「きよしこの夜」。それは、初めて1年から3年までの各学年が揃って完全な姿を整えた、岡山城東高校音楽系の産声だった。

「フィンランディア」

 しんと静まり返って卒業式の開始を待つ体育館に、突然、金管楽器の重厚なハーモニーが鳴り響く。平素は弦楽合奏の形態で活動している管弦楽部と吹奏楽部が合体したオーケストラに、合唱部と1年生の音楽選択者全員による合唱団が加わった、総勢250名によるシベリウスの交響詩「フィンランディア」の演奏である。

 「君が代」、「蛍の光」、そして「校歌」。弦楽のみの前奏で導入される「蛍の光」には、ひときわ情感が籠る。卒業生の退場は、エルガーの「威風堂々」。勇壮なマーチの響きと拍手の嵐の中を、誇らしげに胸を張って巣立ちする卒業生たち。

 岡山城東高校の音楽教育は、入学式に始まり、卒業式まで続く。

  岡山県教育委員会「教育時報」1991年10月号 「特集 岡山の音楽」による