マリアツェル -9. 16

Last-modified: Mon, 19 Jul 2010 17:13:30 JST (2952d)

 8時40分西駅発、巡礼教会の街マリアツェルへ。サンクト・ペルテンでの乗り換えの接続も良い。ここからは2等車3両だけの狭軌のローカル線で、ゆっくりしたスピードの割には揺れが激しく、踏切でやたらに鳴らす警笛がやかましい。

 我々の乗った禁煙部分には合計3組の夫婦が乗り合わせた。他の2組はドイツ語。隣の席の1組が盛んにカメラを使い、席を移動しては風景に見入る。地形の変化が珍しい様子なので、おそらく平坦な地形の多い北ドイツからの観光客だろう。

 乗り心地は良くないが景色は素晴らしい。山への登りに掛かるとかなり長い蛇行をして、さっき停車した駅が直ぐ下に見えたりする。海抜の表示が900mに近いあたりをしばらく走って、眼下に広がる景色を楽しみながらマリアツェルに到着。涼しいのを通り越して寒い。

 教会は真ん中の塔を修理中で外観の美しさを損ねているが、内部は壮麗そのもの。大理石の説教台の立派さや、オルガン周辺の金色の装飾の華麗さが特に印象に残る。こちらに来てからかなりの数の教会を見、それぞれに感慨を持ったが、ここは特に印象深いものの一つだ。宝物館の内容も凄い。ハプスブルグ家との深い繋がりを持つこの教会の歴史が凝縮されている。

 教会付近の土産物屋の雰囲気は、ちょうど、備中高松の最上稲荷の門前町そっくり。国が変わり、神社が教会に変わっても、変わらぬ物ありの感を深くする。

 帰路、マリアツェルから、車両の半分だけが1等になっている部分で、例のドイツ人夫妻とまた乗り合わせた。発車して直ぐ、隣の喫煙部分から1人の男性が現われ、私の耳元に口を付けるようにして英語で話しかけて来た。ドイツ語は出来るのかと逆に問い返すと、少しは出来ると言ってドイツ語に切り替えた。

 今はオーストラリアのシドニーに住んでいるが、元々はこの直ぐ近くで生まれ育ったのだと。少しは出来るもないものだ。11月までこちらに居る、あなたは休暇で来ているのか、と立て続けにしゃべる。こちらも、娘夫婦が今メルボルンに住んでいる、私は年金生活者で、来年の夏までヴィーンに居る、などと話す。

 シドニーに日本人の知り合いが居るとのことで、結局のところ我々に話しかけて来た目的は、その日本人に教えられた日本語、「今日は!」と「さようなら」が使ってみたかっただけのことらしい。3つ目の駅で、あそこが生まれた家だと指差しながら降りて行った。北ドイツ夫婦とは殆ど話しせず。

 20分遅れのICでヴィーンへ。ヒュッテルドルフでU4に乗り換え、帰宅。