シュテファン寺院

Last-modified: Sat, 17 Jul 2010 11:54:19 JST (2777d)

 ヴィーンの人は方角を間違えないと言われる。何処からでもよく見えるシュテファンの塔を目印にすれば道に迷うことはないというわけだ。しかし、あまり大きなものは近付き過ぎると良く見えない。ヴィーンでそれを一番良く実感できるのが、『ヴィーンの魂』と呼ばれるこのシュテファン寺院の右側面に聳えている、137mの南塔ではないだろうか。バベルの塔のように雲の中に消えているわけではないが、近くからはてっぺんまでは見えない。

 登ったのだ、其処へ!ずっと低い北塔にはエレベーターがあるのに高い方の南塔にはない。誰が数えたのか知らないが343段あるという螺旋階段を歩いて登るしかないのだ。あわせて116歳の、その時点ではまだ時差ボケも残っていた我々夫婦にとっては大変な重労働だった。普通の階段なら踊り場があるから適当に休めるのだが、螺旋階段には踊り場など作れないから、ただだらだらと登って行くしかないわけで始末が悪い。

 しかし、登り詰めたところからのヴィーンの街の鳥瞰図そのものの眺望は素晴らしく、かなり悩まされた螺旋階段の疲れを一気に吹き飛ばしてくれた。長い間温めて来た私の『夢』が実現して、これから1年間、この街で生活するのだ! モーツァルトと同じ空気を吸いながら! まだ名前など知らない教会や宮殿などの建物、日本の街よりずっと緑の多いヴィーンの美しい街並みを眼下に睥睨しながら、心の中で喝采を叫んだ。